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という基幹的科目のほか、「行政過程論」「行政管理論」「地方自治論」「都市政策」「経済政策」「福祉政策」「公共政策」等の科目を配置している(以上、すべて4単位)。この学科のばあい、最大の特色はむしろ専門科目の配当年次指定がないことであるかもしれない。上述の科目は1年次にいきなり履修してもよいし。最終年次で履修してもよいのである。このフレックスさはたしかに評価できようが、そこには1つの前提があると思われる。法律学ほど大学における教育体系が確立していない政治学においてはある意味では当然のことかもしれないが、たとえば、「行政過程論」「行政管理論」は一般的には「行政学」の各論であるから、ある程度履修の順序があるはずである。ゆるやかなコース制による履修指導とともに、履修年次計画の指導も必要となろう。
このようなコース制の導入は政治学科だけでなく法律学科にもみられるが、そこで明らかなことは、法律学科においても「行政」「政策」にかんするコースを設定していることであろう。以下、2大学の事例を紹介しよう。
早稲田大学は、創設以降、政治経済学部と法学部が並立しており、行政学関係の教育科目はもっぱら政治経済学部に設置されていた。法学部に学科組織はないが、他大学の法律学科と同一視して差し支えない。同学部では、「各法分野における研究の著しい発展や学際的研究の進展、社会の多様化・複雑化さらには国際化という今日的状況に対応するためにカリキュラムの大幅な改革を1994年度より実施」(早稲田大学法学部『1996年度学部要項』の「法学部沿革」より)している。その改革の根幹が「法律コース」「公共政策コース」「国際関係コース」という3コース制の導入である。仮に、「法律コース」がなければ、名称からすると政治経済学部政治学科あるいは法学部政治学科のコースと思われてもおかしくないであろう。「公共政策コース」のカリキュラムをみると、やはり法学部(事実上法律学科)であるため、設置科目の大部分は法律関係科目であり、政治学系科目としての行政関連科目は「行政学」「官僚制論」などわずかである。また、他の選択科目を概観してもこのコース独自の科目はほとんど見あたらない。しかし、「行政学」が「法政策論」とともに必修となっていることについては、政治学科でないことを考慮すると異例のことといえよう(以上、各4単位)。しかも、この2科目は2年次の必修科目とされており、伝統的な政治学科において行政学を3年次配当にしている例が少なくないだけに、個別法を教育する以前に行政の実態についての講義を配置することは意味のあることいえるかもしれない。
法政大学法学部法律学科においても類似の改革が行われている。同大学のばあい、法学

 

 

 

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